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15000番を踏んで下さったメイ様からのリクエストで三月と七月のラブ話しです。

あの二人でラブ話…。ラブになっているかはわかりませんが楽しんで頂けたら幸いです。

 

 

「じゃあ七月、僕はこれから学年会議に顔を出さなければいけないから…。今日締め切りの書類50枚、キチンと耳揃えて提出しておいて下さいよ」


「へーい」


放課後の生徒会室。机上には議案書やら報告書やらが大量に散らばっていて、そこへ突っ伏して項垂れている星彩学園生徒会長を悠紀人は至極冷たい視線で見つめていた。


「大体、七月が悪いんですよ?他の役員達は毎日居残って自分の仕事をこなしているのに、貴方ときたら部活動ばかりで…」


「はいはい、わかってるから早く会議行ってこい。今日中に理事んトコのポストに出しときゃいいんだろ」

 

いつものお小言を頂戴している当の本人は、顔は上げずに片手をひらひらさせて早く行けと促している。

そんな七月の様子を見て溜息を一つだけ零すと、悠紀人は黙って生徒会室を後にした。


「これは困ったな。あの様子じゃ今日中に書類は上がりそうにない、か」


さて、どうしたものか。


暫く歩きながら考えていたが、ふと一つの可能性に思いあたり、その足を止めて左腕の時計を見やる。

会議が始まるまでにはまだ少し時間があった。


「…仕方がない、こうなったら『彼』に協力を頼むとしましょうか」

そう呟くと、悠紀人は徐に内ポケットからスマートフォンを取り出し、心当たりの名前を探し始めた。

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悠紀人が出ていってからどのくらい時間が経ったのだろうか。


何かを考えてみようとしてみるが、最近まともな睡眠がとれていない七月の頭はボーッとしていて、正常な役割を果たしていない。


今日に至っては時間が経つ感覚など、微塵も感じていない程だった。


(コンクール用の彫刻、完全に行き詰まってる…そのせいで生徒会の仕事にも支障を来すとは、情っけねぇ…)


部活に生徒会、両立出来ると思っていたのに。思いの他、自分の力量などたかが知れている程度のものであったということだ。


(たった二つの事柄すら同時に成し得る能力も無い俺が……本当に、叶えられるのか…)


自身の理想の姿はとうの昔に描き切っていて、それを実現する為に努力は惜しまずやってきたつもりであったが、現実はこうやって上手くいかない。悠紀人を始め生徒会役員の皆に、いつも他人に迷惑をかけてしまう。

 


「…七兄?」


ついに幻聴まで聞こえてくる始末。

 

俺はやっぱり駄目な奴だな、と七月の顔に自嘲の笑みが浮かぶ。

「うぇ、寝ながら笑ってやがる…キモ…」

 

 

??

 


幻聴にしては些か辛辣すぎやしまいかと、何かおかしく思って七月が顔を上げると、そこには分厚いレンズの眼鏡、きっちり七三に分けられた髪、シャツの第一釦までしっかりと締めた姿でこちらを覗き込む弟がいた。


「あ、起きた」


その恰好ときたら、三月をよく知る者にとってはいつ見てもとてつもなく笑える姿だと思う。

でも、これなら学園内でも確実に安全であろう。


「…ってか、何だよこの紙の山」


床やら机の上やら散らばっている書類を手に取り、三月はそれらを訝しげな顔をして眺めている。

そんな事よりも

 

「…なんで三月がここに?」


それが今、一番の謎だ。

「あ?何でって、寧ろ俺の方が聞きてぇよ。部屋でゴロゴロしてたらいきなり北条先輩から電話来て、今すぐ生徒会室に行ってくれ!とか言われてさ」


三月はかったるそうに眼鏡を外すと、「珍しく慌ててる感じだったし、何事かと来てみたら爆睡こいてる七兄しかいねーの。意味わからん」とぼやきながら、床に落ちている数枚の書類を拾って机に戻す。


暫く会わない間にどれだけ口が悪く生意気になっても、こういうさりげない優しさは小さい頃から相変わらずだった。


自分がこの学園に来る前までの、後ろをちょこちょことくっついて来ていた姿を思い出す。


(全く、この余裕がない時に三月を呼ぶなんて。悠紀人の奴、余計な事を…)


「って…おい、さっきから何笑ってんだよ」


三月がその大きい目を細め、じろりと睨みを利かす。


「んー?いや、別に」


そう言われてから気が付いた。どうやら俺は無意識のうちに笑っていたらしい…

 

だってなぁ

こんなに可愛い弟の顔を見てると、「疲れた」なんて言ってられなくなるって。

俺も相当なブラコンだな。なんて、今更実感していたり。

やっぱり、三月を守るためなら俺は何でも頑張れるよ。

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「さてと、ではでは気を取り直しまして。お兄様、今めっちゃやる事あるんだわー。終わんないんだわー。困ってるんだわー」

「そか、まぁせいぜい頑張れよ」

「そこで、だ。わざわざ自室から着替えまでして生徒会室へご足労下さった三月君をとんぼ返りさせるのは悪いなーっと思うので、この書類の山の整理でも手伝ってもらおうか!」

「げっ、まじかよ!?昼寝の途中だったって言ってんだろーが!眠いっ」

「まぁまぁ~、そう釣れないこと言わずに。ほら、仕事が全部片付いたらお兄ちゃんと一緒に昼寝しような」

「は?何でそうなるんだよ?テメェこら!はーなーせぇ~っっ」


こうして三月はがっしりと襟首を掴まれ、とってもいい笑顔を浮かべた兄に容易く捕獲されてしまうのであった。


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「やれやれ、心配になって来てみれば…」


悠紀人が会議を途中で抜け出して生徒会室に来てみると

 

「すー…すー…」

「ぐー…ぐー…」

笹本兄弟がソファーでくっつきながら仲良く眠りこけていた。


「全く…、この兄弟ときたら、仲が良いのか悪いのか」


呆れながら机の上を見てみると、そこには提出する予定の書類が複数束ねて置いてあった。


「この書類を理事に届けるまでが仕事なんですけどね。まぁ、今回は三月君の可愛い寝顔に免じて、僕が代わりに出して来るとしましょう」


そうして気持ち良さそうに眠る二人の姿に満足そうな笑みを浮かべた悠紀人は、静かに生徒会室を後にしたのだった。

 

 e n d

 

 

 

色々と中途半端で申し訳ありません。ラブとは一体??

書き直ししまくってしまいましたし、時間もかなり掛かってしまったのにも

係わらず、リク内容にそえていない始末。

こんな文にはなりましたが少しでもメイ様に気に入って頂けたら嬉しいです。

リクエスト有難うございました。

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